お盆

私の父は、今年、2020年1月、この世の生命が終わり、命のエネルギーに戻った。

生命から命に戻るとき、エネルギーがどんどん高まっていった。

父が、生きている間に高めてきたものが、どんどん輝きに変わっていった。

 

死を迎える2、3年前から、すべてを手放していく姿を見せられた。

何のこだわりも執着もない、「ただ今を生きる」という、そのものの姿をみた。

そこには、今までの父親の姿は、どこにもなかった。

何ひとつ泣き言をいわない。すべてを受け入れていく姿…。

 

病気になった父は、私に言った。

「お前と違って、良かった。このわしで良かった。お前は倒れたらあかん。お前が動けやんようになったら、皆が困る。家族が困る。」と・・・。私は何も言えなかった。ただ、ただ大きな愛を感じた。

 

食べられなくなって、動けなくなっていく父に母は、

「難儀やなあ、ほんまに、難儀やなあ」と言った。(難儀=大変だということ)

父は、「なんにも難儀なことない、難儀やと思うよって、難儀なんや」と言った。

(なにも大変なことはない、大変だと思うから大変なのだと言った)

母は、「そうか」と言って笑った。

 

どんどん動けなくなっていく、どんどん話せなくなっていく父が、

今までで一番かっこよく見えた。今までで一番輝いて見えた。

それは、私だけではなく、家族皆が言葉にした。「今までで一番男前」だと。

目の前で、息を引き取った姿に、仏そのものを感じた。

ただ合掌しかなかった。ただ「ありがとうございます」しかなかった。

 

棺の中に入れる色紙に、皆がそれぞれ、お別れのメッセージを書いていた。

主人のメッセージを見て、涙が止まらなかった。

「お父ちゃん、息子にしてくれて、ありがとう」と書いていた。

私の知らないところで、主人と父の間に「愛の絆」ができていたことに気づかせてもらえた。

 

そしてこの度、「初盆」を迎え、父の死から、この半年の自分の大きな進化に気づいた。

今のこの姿を父に見せることができることを本当に嬉しく想う。

共に生き、共に生かされていることに、感謝。

 

ご先祖様に、最高の自分を見せられることが、最高の幸せであることに気づく…

 

                                           合掌